一軒のカフェが“まち”をつくった
と言っても過言はないと思う場所。それが栃木県那須塩原市にある黒磯です。

那須・黒磯は、カフェを中心にセンスあるお店がぎゅっと集まっているおもしろいまちです。
「あたりまえに未来が生まれる町」と言われるこのまちには、人でにぎわい、目を引く地区があります。白い建物が並んでいて、行き交う人の姿もあるので、車で通っても「なにここ?!」ってついつい思ってしまう。
この地区には、なぜかリノベーションしたお洒落な感じのお店がいくつもあります。しかも、飲食店、宿泊施設、花屋、生活用品点、服飾店、登山具店、古道具屋などなど多種多様。歩いて回っても飽きない、そんなところです。
そもそも、この黒磯という地名は、市町村合併によって那須塩原市に併合されてしまった旧黒磯市の市街地で、正式な地名としては存在していません。それでも黒磯の人たちは、土地への愛着を込めて、自分たちの暮らしている場所と黒磯と呼んでいます。
黒磯は、1885年の黒磯駅開業に伴い発展した町で、今は地方の市街地と同じように、かつての活気が薄れて、ちょっと寂しい空気感があるように感じられる。
それでも、この黒磯は、1988年にオープンした一件のカフェをきっかけに、新たなまちへと変わり初めています。那須という、自然豊かな土地に恵まれながらも、都心から2時間程度でアクセスできる手頃さもあってか、新しい住人や文化を受け入れる余白というか寛容さがまちなかにも漂っています。
このカフェがすべての始まり。
1988年に現店舗の2階にオープンした「1988 CAFE SHOZO」。このカフェがすべての始まり。
このカフェから始まり、近隣に「SHOZO ROOMS」や「SHOZO 04 STORE」といった系列店の開店をきっかけに、周辺に新しいお店が集まり始める。店主たちはUターンだったり、黒磯の魅力に惹かれたりと理由は様々ですが、続々とお店が開かれ、今ではこの地域と駅周辺に27もの素敵なお店があるといいます。
2019年に駅前に地域の居場所として誕生した図書館「みるる」は地元出身の若手建築家が設計したものだし、黒磯では食卓の定番になっているカラアゲをつくっている「黒磯ブロイラー」は先代の店主からUターンしてきたおいっこが継いだお店だし、「年をとっても何か関わりたい」という気持ちになる街なんだなあと思ってしまいます。
「TURNS」や「栃木県、黒磯。」という書籍では、こうした黒磯のまちと、地域に関わる多様なプレーヤーの営みが紹介されています。
まちのプレーヤーたち(というよりか当事者や住人と言った方がしっくりくるかも)が、黒磯に来たきっかけや街の魅力、なぜお店を始めたのか、どんな想いで街に関わっているのかということが、インタビューも含めてまとめられているので、読んでいると黒磯に行きたい欲求がふつふつと湧いてくる感じです。
これらの書籍にも、魅力的なお店が紹介されていますが、私の体験も含めて、この黒磯のお店をちょっとご紹介します。

1988 CAFE SHOZO
先ほども紹介した今の黒磯を象徴するカフェ「1988 CAFE SHOZO」。
コーヒーとバターの香りに誘われ、店内を覗くと、古民家風のいい感じに濃くなった木造感と、小気味良く並ぶ商品が目に入くる素敵なお店です。
コーヒーもですが、お供のスイーツもこれまた美味しくて、長居したくなる系のカフェです。
このカフェの隣の裏にある姉妹店「SHOZO 04 STORE」では、衣料品を中心に素敵なアイテムがセレクトで置いてあって、良きお店です。個人的には、ここで売っていたジャンパーを一目惚れで買ってしまいました。
車があれば、那須のお店「NASU SHOZO CAFE」にも行くことをぜひオススメします。森の中なので、もっとリラックスした雰囲気で、コーヒーとスイーツをいただけます。アンティーク家具のある店内やゆったりとしたテラス席で、ゆっくりすることができます。

Chus
SHOZO CAFEの並びにあるChus(チャウス)。こちらは、売店・飲食店・宿泊を兼ねた複合施設になっていて、お店の外観からすでに楽しそうな雰囲気が伝わってきます。
宿泊<YADO>は、ゲストハウスになっていて、寝室のほかは共有のシャワーとトイレ、洗面があるだけなんですが、寝室の雰囲気だけでもすごく素敵なので、いつかここを拠点にして那須を満喫したいと企んでおります。
カフェ&レストランの<TABLE>では、地元の食材を使ったメニューが用意されていてるのが嬉しいですね。
モーニングからディナーまで営業していて、イベントやパーティ会場としても利用できるというので、地元の方には幅広い利用がありそうですね。
“おいしい・楽しい、があつまる。那須の大きな食卓” HPにはこう書いてあります。
宿泊者に教えてくれる近隣のおすすめ情報も、那須での滞在を充実させてくれるので、必見です。

黒磯駅前エリア
もう一つ、特にオススメしたいのがJR黒磯駅周辺です。この地区から歩いて10分ちょいの距離なので、あわせて立ち寄りたいです。先述した「みるる」にくわえて、
など、見どころ満載です。

黒磯周辺も魅力的な場所が
この他にも、心を込めて育てているジャージー牛がいる「森林ノ牧場」、黒磯の新たなまち「GOOD NEWS」などなど。。。全然紹介しきれてないですね。
気になった方は、もうとにかく行ってみるのがオススメです。

さらにこの黒磯の新しい名物といえば、「バターのいとこ」。バターをつくる時に大量に余ってしまうスキムミルク(脱脂乳)を無駄にしないためになんとかしようとして生まれた新感覚のゴーフルは、シャリッとした歯ごたえとモチっとした食感、ミルクジャムのやさしい甘みを感じられるスイーツです。もうすでに黒磯名物となっているので、こちらもぜひ食べてみてください。
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好きな人が集まるまち
なぜ、黒磯がこんなまちになったのか。とても不思議に思えますが、別に誰かが”まちづくり”とか肩肘張って頑張ってきた感じは全くしません。
このことを考えていた時、さっきの本「栃木県、黒磯。」の中でとてもしっくりくる言葉が記載されていたので紹介したいと思います。
東京で活躍していたDJの方の記事にあった言葉です。
この町は作られた感じがしないんですよね。何かを本当に好きな人が集まってるから、この町ができている
栃木県、黒磯。あたりまえに未来が生まれる町
“まちづくり”されていない“まち”。まちづくりってよく聞くけど、誰かがつくるものじゃなくて、本当はその町に住む一人一人やお店の一つ一つで成り立っているんだなと、改めて感じさせてくれた言葉で、本当にこの黒磯にしっくりきました。
そして、改めてこの本のはしがきを読んでみると、そこにはこう書いてありました。
黒磯の人々は自分たちのやりたい店や伝えたい文化のために、店を続ける。そして、誰かを喜ばせることや、住む町を良くしていくことが、自分の幸せもに繋がっている。“町の未来をつくる”と肩に力を入れるのとも違う。彼らが自然と選び取った「こういう暮らしがいい」という営みの中から、あたりまえに町の未来が生まれていく。
栃木県、黒磯。あたりまえに未来が生まれる町
まさにその通りだなと思える那須・黒磯でした。
ということで、今回はこのくらいにしたいと思います。いかがでしたでしょう。
本当に伝えきれていませんが、拙い文章にお付き合いありがとうございました。
それでは、今回はこれぐらいで。
では、ブルーとグリーンを楽しみましょう!
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2023.2.28
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